works_2021_06

前原家のデスクとベンチ


住まい手設計のもと、住まい手と一緒に製作しました。

2台ずつ製作したデスクとベンチは、窓とベランダの周りに2人分の居場所をつくり、外の風・光・街と豊かな関係をつくっています。

どちらも形がシンプルなので、今後のレイアウト変更や引越しに対応できる柔軟性を持っています(ベンチは立ち上げれば縦長の棚として使うこともできます。)

部屋の雰囲気に合わせてラワン合板を中心に使いつつ、スチール・アクリルといった素材やカラフルな塗装を取り入れ、日常の風景がどっしりとしすぎないようバランスをとりました。


設計:前原航+村越文






以下、住まい手によるテキストです。


在宅勤務が増えたため、ワークスペースを設けることとした。

当初は窓前にデスクを置くことを考えていたが、打合せを通して、デスクは壁沿いとし、窓前には背の低い収納付きベンチを配置することに決まった。

デザインコンセプトは、色を使った家具にするということだった。

マルセイユのユニテ・ダビタシオンを訪れた際に、鮮やかな色に囲まれた生活空間が豊かで生き生きとしたものに感じられた。

また、今後自由に色を変えられるように塗装仕上げとし、キャンパスのような余白を持たせた。

さらに、スチールの軽やかさやアクリルの透明感を合板に組み合わせ、使用した色がすっきりと見える納まりになっている。

施工は現地で協業できるようゴーストファニチャーにお願いしていた。

素人でもできる作業を抽出して指示してもらった。

塗装作業は人々が行き交う前庭で行い、地域の人にも手伝ってもらい、家具は完成した。

ベンチ上の窓からは、日差しや風が入ってくる。

下を覗くと、歩く人が見えるので、ご近所さんや友人に挨拶することもある。

デスクも含めて窓の近くに居場所を作ったことで、建物に囲まれた都市の中でも、自然や人のふるまいを感じるようになった。

何より自分たちで設計施工に携われたことで、家具への愛着はより強いものとなり、今では生活の一部となっている。(前原航+村越文)